人生の終末期をどこで、誰と、どのように過ごしたいかを考える意思決定支援が重視されています。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は、将来、自分で意思決定できなくなった場合に備え、あらかじめ希望する医療やケアについて家族や医療チームと話し合いを重ねるプロセスです。高齢になるほど、認知機能の低下や急激な病状の変化により本人の真意の確認が難しくなる場面が増えていきます。早い段階から対話を繰り返し、本人の価値観や死生観を共有しておくと万が一の際にも尊厳あるケアを選択できます。最期まで希望を繋ぎ止めるための対話は、関わる全てのスタッフにとっても専門職としての誇りを再認識させてくれる貴重な経験になるでしょう。
この対話のプロセスでは、看護師は患者の心に寄り添う重要な相談者としての役割が期待されます。治療の選択肢の提示だけでなく、患者がこれまでの長い人生で何を大切にしてきたか、どのような最期がその人らしいのかを丁寧に聞き出します。家族間で意見が分かれる場合でも、第三者的な視点を持って納得のいく合意形成を導き出すサポートが欠かせません。看取りの場所が病院から自宅や介護施設へと多様化する中、本人が望む場所で穏やかに過ごせる環境を整えることは医療従事者の大きな使命と言えるでしょう。本人の意思が尊重される支援体制を地域全体で守ることが、これからの社会における看取りを豊かにします。対話を重ねて生まれる信頼関係が、患者本人だけでなく家族の心の平穏にも寄与します。